高校生に薦めたい本
2006-02-20T13:58:01+09:00
asadoku
高校生に薦める本を紹介します
Excite Blog
伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」 新潮文庫
http://asadoku.exblog.jp/2718253/
2006-02-20T13:56:43+09:00
2006-02-20T13:58:01+09:00
2006-02-20T13:56:43+09:00
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本の紹介(あ)
東野圭吾や石田衣良もいいけれど、ちょっと伊坂幸太郎もあなどれん、といったところか。
さてさて、ファンタジーではないのだけれど、突拍子もない設定や展開があっても自然に受け入れられるから不思議?読み出したら止まらなかった。これはきっと自分に向いてるんだろうな。
「この島に欠けているものは?」の答えが、ずっとひかかっていたのに、結末に用意された答えが月並みで「ああ、そうか」という受け止め方しかできなかったけれど、「それしかないか」という思いはいやな感じでもない。あれこれ考えても、それが一番幸せな答えなんだろう。
もちろん、登場人物それぞれの「欠けているもの」が見えてくるのもおもしろい。
結論として「ラッシュ・ライフ」を早急に読むこと!]]>
岡田淳『ようこそおまけの時間に』偕成社文庫
http://asadoku.exblog.jp/2663737/
2006-02-09T19:30:52+09:00
2006-02-10T16:06:28+09:00
2006-02-09T19:30:52+09:00
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本の紹介(に)
私は「『NHK少年ドラマシリーズ』という単語を聞いて胸をときめかす」派に属しています。
このブログを読んだ人の中に「あぁ、わかるわかる」と感じた人いますか?
感じるか否か。
その答えによってその人の世代の程が知れるというものです。
『少年ドラマシリーズ』。かつて70年代にNHKが放映した少年向け連続ドラマ。
中でも人気だったのが学園SFものでして、タイムマシンやら超能力やら、現実世界を脅かす力に、高校生・中学生が立ち向かう、という類のものでした。
『タイムトラベラー』『未来からの挑戦』なんて、まあ10代にはおよそ伝わりますまい。
とまれ、ドラマに夢中になった私は当時小学低学年だったのですが、観ながら感じていたのは、
「クラスメイトが困難に立ち向かった時に組んだチームワークってかっこいいなぁ」
ということでした。
平凡な子、優等生、やんちゃな女の子、のんびり屋、一匹狼。
それまで空気のような存在にしか思っていなかったクラスメイトが、超次元の脅威に対抗すべく仲間となっていく。
その過程で語り合うお互いの内面。即時的なスクラムはやがて濃密な人のつながりへと結束していくのです。
低学年からするとですね、
「このおねえちゃん、おにいちゃんたち、かっこいいなぁ」
という羨望でしたね。
ちなみにこのドラマシリーズ、ビデオに出てないのですね。
調べたらマスターテープを消去しちゃったんですって。
寂しいなあ、と思っているわけですが、そんな私のエアポケットを見事に埋めてくれるのが岡田淳なんですね。
元教師ならではの、現実に即したクラス描写に基づく「小学校ファンタジー」。
岡田淳の特徴として、長・中編のわりに物語が始まってから結末までが実に短い。
ときに10日間のストーリー、ときに2日のストーリー。
1時間の出来事を描いたかと思うと、中には2分間だけの冒険を一冊にしていたりします。
この本は月曜から土曜日までの6日間のストーリーです。
「世界中の時間が止まってて自分だけ体を動かすことができたら・・・」という大抵の人が空想するそんな状況にたどり着く手段を発見したのは6年生の賢くん。
4時間目の途中に鳴り響く正午のサイレンの間だけ彼は自由な空間を冒険できるのです。
やがて賢くんと同じようにその世界に行き来できるようになったクラスメイトが増えてくるのですが、毎日の教室とはまったく異なる一面を見せるんですね。
おしとやかな子がおてんばだったり、ガリ勉の子がなまけんぼだったり。
ともかく仲間となったクラスメイトは、時間が止まった“おまけの”世界の謎を探るべく冒険を始めるのでした。
もちろん徐々に「結束」しながらですよ。
あったあったこんな感じ。
ノスタルジックな気持ちに浸りながら、快く読了できました。(に)
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阿刀田高『楽しい古事記』角川文庫(‘03)
http://asadoku.exblog.jp/2653120/
2006-02-07T17:37:43+09:00
2006-02-07T17:44:38+09:00
2006-02-07T17:37:43+09:00
asadoku
本の紹介(に)
万葉集を学んでいた私は、のっぺりと田畑が広がる景色に心を躍らせていたのですが、一方の後輩は何やら手持ち無沙汰のご様子なんですね。
そこで私が旅の風情を盛り上げようと公園の高台にのぼり、万葉の歌を一人ごちますと、横にいた平安文学専攻学生は実に率直な質問を投げかけてきましてね。
「あのぉ、センパイ。ボクたちはここに何を見に来たんですか?」と。
見るもの?そんなものはないじゃないか、と私が真顔で答えると、その後輩はキョトンとするんです。
そこで改めて周りを見てみると、なるほど何にも無い。田園と団地。チェーン店の看板。
その時になって私は、ははーん、こういうのって特殊な世界なんだな、と自身の身の置き場をはじめて知ったのでした。
「万葉ロマン」とう語があります。
そう言えば「源氏ロマン」とはあまり聞かないですね。
万葉好きは、発掘したりはしません。歌が生まれた場所に立ち、そこで歌を詠むだけでいい。
ちょっと奇特な世界。こりゃシャーマニズムの一種なんかなぁ。
とにかく、ただの田畑、ただの住宅地に飛鳥の世界を想起する“技術”が普通の人には理解しがたい世界だ、ということは、おそらく間違いなさそうですね。
作家阿刀田高が古事記世界の痕跡を求めに全国を飛び回る。
タクシーの運転手に「へ?お客さんあんなとこにわざわざ行くの?」と失笑されながらも、神話の舞台を歩く。到着しても「ふーん、これがそうなの」という程度のものばかり。ところが「おおらかな気持ちで、確かなものは確かな歴史として、突拍子の無いものはイマジネーションの産物として」大いに古事記世界を楽しんでいるのですね。
これぞ「ロマン」!私は大いに賛同します。 (に)
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河合隼雄「こころの処方箋」新潮文庫
http://asadoku.exblog.jp/2309720/
2005-12-04T15:04:50+09:00
2005-12-04T15:09:28+09:00
2005-12-04T15:04:50+09:00
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本の紹介(て)
それにしても、この本の内容は、いい!
あたりまえのことがあたりまえのようにして書いてある。でも、それがあたりまえでなく、なんだか新しい発見をしたときのように感じられるのは、作者の知識や経験を物語るのだろう。
大いなる常識が、多くの人々を救うときがある。そんな内容に思える。
谷川俊太郎の「あとがき」にある「ふたつよいことさてないものよ」という河合さんの言葉、以前、河合さんの講演で聴いたことがある。この言葉が、この本の内容を簡潔に語っているように思えた。
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アーサー・ランサム「シロクマ号となぞの鳥」岩波書店
http://asadoku.exblog.jp/2239400/
2005-11-22T14:17:13+09:00
2005-11-22T14:17:13+09:00
2005-11-22T14:17:13+09:00
asadoku
本の紹介(よ)
余談で言えば、中3のころ、前回に紹介した「火星シリーズ」を友人3人が同時に読んでいて、今近所で歯科医をやっている友人が「(その世界を)夢に見たよ」と言ってたのを思い出す。そう、あの頃、誇張でも何でもなく、バロウズの本を一日2冊のペースで読んでいたのだった。
そして中学卒業間際、バロウズより面白い本はないのか、と探していたぼくの目にとまったのがランサムだった。ランサムが子どもたちに向けて書いた12冊の「ツバメ号シリーズ」は、別名「ランサムズ・サガ(英雄譚または大河小説)」と呼ばれる。この本は単行本として出されたもので、シリーズの最終巻であるのを、読み終わるまでぼくは知らなかった。
この「サガ」は一言で言えば、イングランドの子どもたちの休暇小説であり、ヨットや帆船が登場する冒険物語である。とはいえ、家族と友人と過ごす避暑地での「ごっこ遊び」(などといえば、当然、登場人物のジョンやティティは怒るだろうが)の延長の様な物語がほとんどなのだ。ただし、12巻の中に、「ヤマネコ号の冒険」と「女海賊の島」という「本格海洋冒険小説」が紛れ込んで(?)いる。そして敢えてそういう分類をすれば、このシリーズ最終巻は「日常冒険物語」と「本格冒険物語」の融合したランサムの集大成的作品になるのだろう。
ランサムの小説は、ぼくの内にある「世界」の形成にとても大きな影響を与えていると思う。そして、サガの舞台である湖水地方やノーフォーク湖沼地帯は一度も訪れたことはないが、まるで子どもの頃にすごしたふるさとであるかのように、いまもありありと目に浮かぶ。]]>
村山由佳「おいしいコーヒーの入れ方」シリーズ
http://asadoku.exblog.jp/2231093/
2005-11-20T23:58:00+09:00
2005-11-21T01:23:27+09:00
2005-11-21T01:23:27+09:00
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本の紹介(て)
この前は、男子高校生が読んでいるのを見た。自分で購入し、まだ文庫本になっていない9巻まで読んでいるのだといっていた。
きっと、このシリーズが人を引きつけるのは、ストーリー展開と、主人公のふたり、勝利とかれんの関係性だろうと思う。
一緒にいてほしいときに、何となく側にいてくれるという関係。しかも気を使うことなく、適度な距離感を持って。そんな関係性が、高校生の心を打つのではないかと考えている。
少女コミックを「読む」感覚なのかもしれない。それにしても、女子高生は、この本を読み出すとハマります。]]>
エドガー・ライス・バローズ「火星のプリンセス」創元推理文庫
http://asadoku.exblog.jp/2029319/
2005-10-20T12:50:29+09:00
2005-10-20T12:51:43+09:00
2005-10-20T12:49:33+09:00
asadoku
本の紹介(よ)
「火星のプリンセス」はぼくが「文庫本」という存在を知ったころに出会いました。中3の時書店で岩波文庫を見つけて、世の中にこんな安い本があったのかと驚喜したのを覚えています。
さて、この本、面白くて面白くて、でも夢中になって読んでいると先が知りたくて、その頁上のちょっと先の行が視野に入ってしまうので、読んでいる行より左は手で隠して読みました。そういう経験って、ありますか?
エドガー・ライス・バローズは、面白い面白い冒険小説をいっぱい書いた人。ターザン・シリーズの作者でもあります。実は高校生の時バローズの経歴を読んで、子どもの頃映画で観ていたターザンが、一人の人間の頭で作られた架空の存在と知って衝撃を受けたのです(笑)。
翻訳としては角川文庫版・小笠原豊樹訳もオススメですが、入手は難しいでしょう。創元推理文庫版でOKです。ぼくは創元版の表紙絵(武部本一郎・画)を愛してやまないのであります。なお、くれぐれも子供向きの翻案本ではなく、完訳版で読んでくださいね。]]>
ピーター・ディッキンソン「エヴァが目ざめるとき」徳間書店
http://asadoku.exblog.jp/1785668/
2005-09-15T11:54:33+09:00
2005-09-22T01:04:15+09:00
2005-09-15T11:54:01+09:00
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本の紹介(よ)
三十余年のときを超えて、久々に翻訳が現れたのが、本書だった。読んだ。その日から、この本はかつての森の子の宝物になった。
環境破壊が進み、人類の存在も危ぶまれる遠くない未来。十三歳の少女エヴァはある事故で瀕死の重傷を負い、昏睡状態に陥る。だが、エヴァは目ざめた。そして、エヴァがそこに見いだした現実とは?…読者よ、「気高き人」エヴァとともに歩まれよ。(よ)
(本書の表紙を見て、献辞を見て、この後の展開に気づく人がけっこういるのでは?表紙絵はジャングル。献辞はジェーン・グドール。)
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小川洋子「密やかな結晶」 講談社文庫
http://asadoku.exblog.jp/1781853/
2005-09-14T22:27:50+09:00
2005-09-14T22:27:22+09:00
2005-09-14T22:26:27+09:00
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本の紹介(あ)
「わたし」は、次々に何かを失い、同時にその記憶をなくす。切なく苦しい喪失感もなく、事態は淡々と進んでいく。「わたし」は、何かが失われていくことに抵抗もないまま受け入れるだけである。
苦しみあえいでいるのは読者である自分、記憶を持ちつつけている自分でしかない。次々に失われていく世界の中で、その未来に恐ろしい不安を抱いているのも記憶を持ち続ける自分だけである。
悲惨な記憶、戦争の記憶、ヒロシマ・ナガサキ、ホロコースト…。風化していく記憶への警鐘?そんな簡単なことではないと思うが、腹の下がむずむずするような不安を感じる。
やはり、限りなく「無」に近づくことが理想なのだろうか。
忘れてしまうことも、覚えていることも、どちらも”苦”に感じてしまうこの頃である。 ]]>
氷室冴子「海がきこえる」徳間文庫
http://asadoku.exblog.jp/1324978/
2005-07-19T23:54:00+09:00
2005-07-20T00:56:13+09:00
2005-07-20T00:56:13+09:00
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本の紹介(て)
特に里伽子の人物造形。弱いところを見せまいとして、意地を張りながら生きる里伽子。それでも時折、我慢しきれずに出してしまうその気持ち。その気持ちが表に現れたとき、常に側にいる拓。
自分の弱い部分を結果として見せてしまうことになる相手。それがいつも同じ人物だとしたら。きっとそのうちに自分の気持ちに気づくはずだ。自分がいったい誰に心を許しているのかを。
そんなふたりの関わりこそ、この小説の中心部分であり、この小説が人と人との関わりの本質を突いているところでもある。
それともう一つ。この小説は、拓の成長物語である点。地方から東京の大学へ進学した拓が、里伽子に振り回されながらも里伽子に対する自分の「思い」に気づいていくところ。それと、里伽子のまわりの人たちとの関わりの中で、ごく普通の人間関係の中で育った拓が、新しい人間関係に気づいていくところ。
何度か読み返したと冒頭に書いた。以前は、大学生の頃の気持ちに近づいたような気がしていたが、最近では、大学生の頃の気持ちは遙か遠くのもう取り戻すことのできないものとなってしまい、一種のノスタルジーさえ感じるようになってしまった。
それでも、この小説は、あのころの自分の純粋な気持ちを感じ取ることができる、いくつかの中の一つだ。
ところで、私事で申し訳ないが、この小説に登場する里伽子。私には限りなく自分の理想の女性像に近い。]]>
恩田陸「夜のピクニック」新潮社
http://asadoku.exblog.jp/1258290/
2005-07-12T23:41:49+09:00
2005-07-13T08:24:01+09:00
2005-07-12T23:42:14+09:00
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本の紹介(て)
夜を徹して八十キロを歩き通す、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。そこで三年間わだかまっていた想いを相手に伝えようと、1つの賭けを胸に秘めて、歩き出す。予想もしなかった来訪者やら、友達の助けやらで、主人公の思いは予想外の方向で成就する。
この行事、実際、恩田陸の出身校、茨城県の水戸○高でおこなわれているらしい。実際の高校は、小説の設定とそっくりらしい。
お互いに避けているが、実は最もつながりたがっているというそんな感情に、気づき、実際につながる。その過程と、ふたりの心のゆれ、まわりの友達の助け、人と人がつながるということの大切さ、人は誰もがまわりの人達に助けられながら生きているという最も大切なことを、この小説は教えてくれる。]]>
北村薫「リセット」 新潮文庫
http://asadoku.exblog.jp/1162313/
2005-07-03T13:19:35+09:00
2005-07-04T19:03:19+09:00
2005-07-03T13:19:46+09:00
asadoku
本の紹介(あ)
一気に読んでしまった。「スキップ」「ターン」が“時間”に翻弄されながら生きる人々を描いたのに対し、「リセット」は実にゆっくりとした自然に流れる時を刻みながら、めぐり逢う奇跡の感動を与えてくれる。3冊とも素敵だが、やっぱり「リセット」かな。
誰かに本や映画、音楽などを薦める、ということをお節介で傲慢なことと感じてしまうことがあるかも知れない。でも本の中で、そのことにもちゃんと答えてくれる。
「(子どもたちが本を読むことの)喜びを大切にしてあげたい、守ってあげたいと…。いい選択肢だと思うものを子どもの前に出してあげたい…。ただ、選ぶのは子どもなんだ。選べるようにしてあげたい」
読書する人を優しいまなざしで見ていてくれる作者の思いが伝わってくるようで、とても穏やかな気持ちになった。]]>
中高生時代に読んだ詩集は?
http://asadoku.exblog.jp/1093215/
2005-06-26T21:18:04+09:00
2005-06-26T21:18:34+09:00
2005-06-26T21:18:34+09:00
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本の紹介(て)
わたしは、高村光太郎の影響をずいぶん受けました。何度も読み直した記憶があります。また、高村光太郎の関連本も何冊も借りたり、買ったりしました。
みなさんはどうですか。最近、星野富弘の詩集が文庫本になって本屋さんで平積みされています。読まれる詩人もずいぶん変わったのではないかと思います。みなさんのご意見を、お聞かせ下さい。]]>
川上弘美「蛇を踏む」文春文庫
http://asadoku.exblog.jp/842075/
2005-06-05T22:11:05+09:00
2005-06-05T22:12:40+09:00
2005-06-05T22:11:23+09:00
asadoku
本の紹介(あ)
“うそばなし”と作者は言う。が、夢か現か、などということはどうでもよい。少しふわふわした体や頭のどこかにぽっかりと空いた隙間。そこに何とも上手く収まっているような心持ちになるのは自分だけだろうか。
自分の空想?あるいは妄想?を理解してもらえる友に出会った、と思った。(あ)]]>
沢木耕太郎「彼らの流儀」新潮文庫
http://asadoku.exblog.jp/759407/
2005-05-31T12:40:58+09:00
2005-06-05T11:53:46+09:00
2005-05-31T12:40:41+09:00
asadoku
本の紹介(あ)
安直に誰かに寄りかかってしまう弱さをうち捨てられるだろうか。「彼らの流儀」を追い求めることで、いつか自分の姿も明瞭になるかも知れない。〈あ〉]]>
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