カテゴリ
以前の記事
検索
リンク
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2005年 09月 14日
何かを失うことはとても悲しく切ない。それはその何かの記憶が残っているから。けれど記憶そのものをなくしてしまったら…。
「わたし」は、次々に何かを失い、同時にその記憶をなくす。切なく苦しい喪失感もなく、事態は淡々と進んでいく。「わたし」は、何かが失われていくことに抵抗もないまま受け入れるだけである。 苦しみあえいでいるのは読者である自分、記憶を持ちつつけている自分でしかない。次々に失われていく世界の中で、その未来に恐ろしい不安を抱いているのも記憶を持ち続ける自分だけである。 悲惨な記憶、戦争の記憶、ヒロシマ・ナガサキ、ホロコースト…。風化していく記憶への警鐘?そんな簡単なことではないと思うが、腹の下がむずむずするような不安を感じる。 やはり、限りなく「無」に近づくことが理想なのだろうか。 忘れてしまうことも、覚えていることも、どちらも”苦”に感じてしまうこの頃である。
by asadoku
| 2005-09-14 22:27
| 本の紹介(あ)
|
ファン申請 |
||