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2005年 07月 19日
もう何度読み直しただろうか。いつもこの小説を読むと、「コバルトシリーズ」を連想してしまう。でも、人と人との関わりの本質を突いているように思えて仕方がない。
特に里伽子の人物造形。弱いところを見せまいとして、意地を張りながら生きる里伽子。それでも時折、我慢しきれずに出してしまうその気持ち。その気持ちが表に現れたとき、常に側にいる拓。 自分の弱い部分を結果として見せてしまうことになる相手。それがいつも同じ人物だとしたら。きっとそのうちに自分の気持ちに気づくはずだ。自分がいったい誰に心を許しているのかを。 そんなふたりの関わりこそ、この小説の中心部分であり、この小説が人と人との関わりの本質を突いているところでもある。 それともう一つ。この小説は、拓の成長物語である点。地方から東京の大学へ進学した拓が、里伽子に振り回されながらも里伽子に対する自分の「思い」に気づいていくところ。それと、里伽子のまわりの人たちとの関わりの中で、ごく普通の人間関係の中で育った拓が、新しい人間関係に気づいていくところ。 何度か読み返したと冒頭に書いた。以前は、大学生の頃の気持ちに近づいたような気がしていたが、最近では、大学生の頃の気持ちは遙か遠くのもう取り戻すことのできないものとなってしまい、一種のノスタルジーさえ感じるようになってしまった。 それでも、この小説は、あのころの自分の純粋な気持ちを感じ取ることができる、いくつかの中の一つだ。 ところで、私事で申し訳ないが、この小説に登場する里伽子。私には限りなく自分の理想の女性像に近い。
by asadoku
| 2005-07-19 23:54
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