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2006年 02月 20日
やっと読んだ。ずっと気になっていたけどやっと読めた、て感じがする。実際は半日で読んじゃったけれど、もし途中で詰まってしまったら、また遠ざけてしまう作家をつくるのかな、と不安もあった。
東野圭吾や石田衣良もいいけれど、ちょっと伊坂幸太郎もあなどれん、といったところか。 さてさて、ファンタジーではないのだけれど、突拍子もない設定や展開があっても自然に受け入れられるから不思議?読み出したら止まらなかった。これはきっと自分に向いてるんだろうな。 「この島に欠けているものは?」の答えが、ずっとひかかっていたのに、結末に用意された答えが月並みで「ああ、そうか」という受け止め方しかできなかったけれど、「それしかないか」という思いはいやな感じでもない。あれこれ考えても、それが一番幸せな答えなんだろう。 もちろん、登場人物それぞれの「欠けているもの」が見えてくるのもおもしろい。 結論として「ラッシュ・ライフ」を早急に読むこと! #
by asadoku
| 2006-02-20 13:56
| 本の紹介(あ)
2006年 02月 09日
高校生のみなさんに伝わるかどうかわからない話をしてしまいます。
私は「『NHK少年ドラマシリーズ』という単語を聞いて胸をときめかす」派に属しています。 このブログを読んだ人の中に「あぁ、わかるわかる」と感じた人いますか? 感じるか否か。 その答えによってその人の世代の程が知れるというものです。 『少年ドラマシリーズ』。かつて70年代にNHKが放映した少年向け連続ドラマ。 中でも人気だったのが学園SFものでして、タイムマシンやら超能力やら、現実世界を脅かす力に、高校生・中学生が立ち向かう、という類のものでした。 『タイムトラベラー』『未来からの挑戦』なんて、まあ10代にはおよそ伝わりますまい。 とまれ、ドラマに夢中になった私は当時小学低学年だったのですが、観ながら感じていたのは、 「クラスメイトが困難に立ち向かった時に組んだチームワークってかっこいいなぁ」 ということでした。 平凡な子、優等生、やんちゃな女の子、のんびり屋、一匹狼。 それまで空気のような存在にしか思っていなかったクラスメイトが、超次元の脅威に対抗すべく仲間となっていく。 その過程で語り合うお互いの内面。即時的なスクラムはやがて濃密な人のつながりへと結束していくのです。 低学年からするとですね、 「このおねえちゃん、おにいちゃんたち、かっこいいなぁ」 という羨望でしたね。 ちなみにこのドラマシリーズ、ビデオに出てないのですね。 調べたらマスターテープを消去しちゃったんですって。 寂しいなあ、と思っているわけですが、そんな私のエアポケットを見事に埋めてくれるのが岡田淳なんですね。 元教師ならではの、現実に即したクラス描写に基づく「小学校ファンタジー」。 岡田淳の特徴として、長・中編のわりに物語が始まってから結末までが実に短い。 ときに10日間のストーリー、ときに2日のストーリー。 1時間の出来事を描いたかと思うと、中には2分間だけの冒険を一冊にしていたりします。 この本は月曜から土曜日までの6日間のストーリーです。 「世界中の時間が止まってて自分だけ体を動かすことができたら・・・」という大抵の人が空想するそんな状況にたどり着く手段を発見したのは6年生の賢くん。 4時間目の途中に鳴り響く正午のサイレンの間だけ彼は自由な空間を冒険できるのです。 やがて賢くんと同じようにその世界に行き来できるようになったクラスメイトが増えてくるのですが、毎日の教室とはまったく異なる一面を見せるんですね。 おしとやかな子がおてんばだったり、ガリ勉の子がなまけんぼだったり。 ともかく仲間となったクラスメイトは、時間が止まった“おまけの”世界の謎を探るべく冒険を始めるのでした。 もちろん徐々に「結束」しながらですよ。 あったあったこんな感じ。 ノスタルジックな気持ちに浸りながら、快く読了できました。(に) ![]() #
by asadoku
| 2006-02-09 19:30
| 本の紹介(に)
2006年 02月 07日
平安文学を専攻している後輩を引き連れて飛鳥をぶらぶら歩いたことがありました。
万葉集を学んでいた私は、のっぺりと田畑が広がる景色に心を躍らせていたのですが、一方の後輩は何やら手持ち無沙汰のご様子なんですね。 そこで私が旅の風情を盛り上げようと公園の高台にのぼり、万葉の歌を一人ごちますと、横にいた平安文学専攻学生は実に率直な質問を投げかけてきましてね。 「あのぉ、センパイ。ボクたちはここに何を見に来たんですか?」と。 見るもの?そんなものはないじゃないか、と私が真顔で答えると、その後輩はキョトンとするんです。 そこで改めて周りを見てみると、なるほど何にも無い。田園と団地。チェーン店の看板。 その時になって私は、ははーん、こういうのって特殊な世界なんだな、と自身の身の置き場をはじめて知ったのでした。 「万葉ロマン」とう語があります。 そう言えば「源氏ロマン」とはあまり聞かないですね。 万葉好きは、発掘したりはしません。歌が生まれた場所に立ち、そこで歌を詠むだけでいい。 ちょっと奇特な世界。こりゃシャーマニズムの一種なんかなぁ。 とにかく、ただの田畑、ただの住宅地に飛鳥の世界を想起する“技術”が普通の人には理解しがたい世界だ、ということは、おそらく間違いなさそうですね。 作家阿刀田高が古事記世界の痕跡を求めに全国を飛び回る。 タクシーの運転手に「へ?お客さんあんなとこにわざわざ行くの?」と失笑されながらも、神話の舞台を歩く。到着しても「ふーん、これがそうなの」という程度のものばかり。ところが「おおらかな気持ちで、確かなものは確かな歴史として、突拍子の無いものはイマジネーションの産物として」大いに古事記世界を楽しんでいるのですね。 これぞ「ロマン」!私は大いに賛同します。 (に) ![]() #
by asadoku
| 2006-02-07 17:37
| 本の紹介(に)
2005年 12月 04日
河合隼雄「こころの処方箋」新潮文庫は、一つ一つの章が、10分程度で読めて、読書が「細切れ」になるとき、都合がいい。
それにしても、この本の内容は、いい! あたりまえのことがあたりまえのようにして書いてある。でも、それがあたりまえでなく、なんだか新しい発見をしたときのように感じられるのは、作者の知識や経験を物語るのだろう。 大いなる常識が、多くの人々を救うときがある。そんな内容に思える。 谷川俊太郎の「あとがき」にある「ふたつよいことさてないものよ」という河合さんの言葉、以前、河合さんの講演で聴いたことがある。この言葉が、この本の内容を簡潔に語っているように思えた。 ![]() #
by asadoku
| 2005-12-04 15:04
| 本の紹介(て)
2005年 11月 22日
「夢にまで見た」という表現がある。普通の使用法とはズレるような気がするが、ランサムの物語世界に夢中だったとき、実際に夢で見ていた。それほどのめりこんだ本だ。
余談で言えば、中3のころ、前回に紹介した「火星シリーズ」を友人3人が同時に読んでいて、今近所で歯科医をやっている友人が「(その世界を)夢に見たよ」と言ってたのを思い出す。そう、あの頃、誇張でも何でもなく、バロウズの本を一日2冊のペースで読んでいたのだった。 そして中学卒業間際、バロウズより面白い本はないのか、と探していたぼくの目にとまったのがランサムだった。ランサムが子どもたちに向けて書いた12冊の「ツバメ号シリーズ」は、別名「ランサムズ・サガ(英雄譚または大河小説)」と呼ばれる。この本は単行本として出されたもので、シリーズの最終巻であるのを、読み終わるまでぼくは知らなかった。 この「サガ」は一言で言えば、イングランドの子どもたちの休暇小説であり、ヨットや帆船が登場する冒険物語である。とはいえ、家族と友人と過ごす避暑地での「ごっこ遊び」(などといえば、当然、登場人物のジョンやティティは怒るだろうが)の延長の様な物語がほとんどなのだ。ただし、12巻の中に、「ヤマネコ号の冒険」と「女海賊の島」という「本格海洋冒険小説」が紛れ込んで(?)いる。そして敢えてそういう分類をすれば、このシリーズ最終巻は「日常冒険物語」と「本格冒険物語」の融合したランサムの集大成的作品になるのだろう。 ランサムの小説は、ぼくの内にある「世界」の形成にとても大きな影響を与えていると思う。そして、サガの舞台である湖水地方やノーフォーク湖沼地帯は一度も訪れたことはないが、まるで子どもの頃にすごしたふるさとであるかのように、いまもありありと目に浮かぶ。 #
by asadoku
| 2005-11-22 14:17
| 本の紹介(よ)
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